2016年9月30日金曜日

『バケモノの子』:「僕にしか作れないアニメ映画がある」

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●細田守監督インタビュー


ロイター 2016年 09月 29日 21:16 JST
http://jp.reuters.com/article/hosoda-mamoru-interview-idJPKCN11Z0LO

細田守監督「僕にしか作れないアニメ映画がある」

●9月27日、アニメ映画の細田守監督はロイターTVのインタビューで、宮崎駿氏を超えたいという望みはあるものの、「僕に宮崎さん的な映画を求めても仕方がない」と語った。 


写真はインタビュー動画から(2016年 ロイター)

[東京 27日 ロイター] -
 宮崎駿氏が2013年に長編映画製作から引退を表明して以来、日本のアニメ映画界をリードする存在と目されているのが、細田守監督(49)だ。

 細田監督はロイターTVのインタビューで、少年時代のヒーローだった宮崎氏を超えたいという望みはあるものの、「僕に宮崎さん的な映画を求めても仕方がない」と語った。
 「映画監督というのは、作るものがそれぞれ違うのが正しい姿。僕にしか作れない映画があって、僕にしかできない楽しませ方がある」と信じるからだ。

 細田監督の映画はカラフルで活気に満ちており、宮崎氏の後をたどっているようにも見える。
 だが、そのテーマには家族やアイデンティティーの問題が絡むことが多い。
 宮崎氏のスタジオジブリ作品のようにファンタジーの世界に没入したい観客には、失望感を与えることもある。

 2015年に公開されたファンタジーアニメ映画「バケモノの子」は、この年の邦画で観客動員数第2位、累計興行収入58億円のヒット作となった。
 同作品では、養父母の家を逃げ出した少年と、少年を弟子とし父親代わりに育てていく「バケモノ」(獣人)との絆を描いた。
 前作「おおかみこどもの雨と雪」でも、おおかみおとことの間に生まれたきょうだいを育てながら懸命に生きるシングルマザーが主人公だった。

 細田監督は、極めて均一的な社会である日本で、自分のアイデンティティーの意味を掘り下げていくことはしばしば理解されないといい、「それがある意味、今の日本だ」とみている。

 日本のアニメ業界でも依存度が高まっているCG(コンピューター・グラフィクス)については、
 「アニメの表現には、いろいろな正解があるはず。ディズニーやピクサーのやっているものしか正解ではない、と言い始めたらつまらないし、CGばかりでは表現が豊かとは言えなくなる」
と話した。

 10月25日―11月3日に開催される東京国際映画祭のアニメーション特集「映画監督 細田守の世界」では、長編「時をかける少女」などが上映される予定。