2016年11月17日木曜日

博多駅前道路陥没事故:1週間で復旧は脅威なのか、早いことは早いが

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サーチナニュース 2016-11-17 07:17
http://news.searchina.net/id/1623210?page=1

えっ、もう埋まったの
・・・福岡の道路陥没、1週間で復旧に驚嘆 
しかし日本人の見方は冷静だった! =台湾メディア

 福岡県福岡市にある博多駅前の道路で8日に発生した大規模な陥没事故は、日本社会に大きな衝撃を与えた。
 そして、1週間後の15日には通行が再開されるというスピード感に驚いた人も多いのではないか。
 特に国外からは、「どうしてこんなに早く復旧できるのか」との驚嘆が声が続々と寄せられている。

 台湾メディア・聯合新聞網は15日、大規模陥没から1週間で復旧したことについて、台湾のネットユーザーから驚きの声があがっているとの記事を掲載した。
 記事は、8日に発生した陥没が
★.長さ30メートル、幅27メートル、深さ約15メートル
に及び、水道管やガス管、電線がダメージを受けて停電の発生、付近住民の避難といった大きな混乱を生じさせたと紹介。
★.原因は地下鉄工事によるものであり、福岡市交通局が直後に謝罪したことを伝えた。

 そして、200人規模の復旧工事が日夜行われ、24時間以内に地表から3メートルまで埋め戻されると、12日には電話線が、13日にはガス管が復旧、15日には道路が開通したと説明している。

 そのうえで、1週間で問題を解決して復旧に漕ぎつけたことについて、多くのメディアが日本の効率や技術の高さを甚く賞賛したほか、台湾のネットユーザーからも賞賛と感嘆の声が寄せられていると紹介。「台湾だったら1年はかかる。経費の申請、認可、入札、何らかの理由による施工停止、予算の追加、手抜き工事、そして、選挙が絡むからだ」、「台湾だったら時間もかかるし、舗装後の道路がデコボコになる」といったコメントを伝えた。

 一方、日本のネットユーザーからは、いかに復旧が速くとも「道路が陥没した事実に変わりはない」、「壊れた道路を復旧させるのは行政の職責だ」といった厳しい意見が寄せられていることも併せて紹介した。

 早朝とはいえ、福岡の中心部で発生した道路陥没に巻き込まれた人がいなかったこと、国外からも注目されるほどの速さで復旧を実現したことは、災害発生時の対応としては賞賛されるべきだろう。しかし、一番の問題はやはり、大きな事故を起こしてしまったことにある。この点はしっかり責任追及され、再発の根絶を期さなければならない。(編集担当:今関忠馬)(イメージ写真提供:123RF)




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JB Press 2016.11.18(金)  伊東 乾
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/48421

博多の陥没を不眠不休で埋め戻した日本の現場力
ほかの国には真似が難しい技と、早急に対応すべき必然性


●土手が200メートルにわたって陥没 伊フィレンツェ
イタリア・フィレンツェで、アルノ川に沿って土手が陥没し、損傷を受けた自動車(2016年5月25日撮影)〔AFPBB News〕

 博多の直径30メートルにおよぶ陥没の穴が1週間で埋められ、ライフラインや交通が仮復旧したとの報道がありました。
 「日本の技術力の高さ」といった表現も目にしましたが、明らかにこれは現場の努力のなせる技、またそれを可能にした行政など関係各方面の意思決定の迅速さのなせる技のように思います。
 誤解のないように、日本の技術力が低いわけではありません。
 と言うより、ほとんどあらゆる分野で日本のテクノロジーは世界最高水準を示しており、明らかに断トツということも決して珍しくはない。

 しかし、そういう分野の国際競争で日本はしばしば新興国の後塵を拝している現状もあります。
 今回の早期復旧は明らかに現場の不眠不休の努力によるものと言うべきで、技術云々は第一にくるものではない。
 フリーで公開されている5日間の復旧の模様を短縮した動画などを見ても、その様子は明らかと思います。
 と同時に、この復旧はこのように最速の作業で行われなければならなかった、と陥没の直後から、とりわけ物理学を知る人は大半が考えていたのではないかと思います。

 韓国なら何か月もかかったはずだ、ロンドンなら・・・。
 といった報道も目にしましたが、何か月もかけている余裕はいろいろな意味でありませんでした。
 社会的、経済的な観点もあると思いますが、純然とテクノロジカルに安全の観点だけから考えても必要不可欠であったと思います。
 交通が復旧した日、私が大学で開講している「音楽の自然哲学」という講義で、少し関係する話題を扱っていたので、以下のような演示を行ってみました。

■豆腐の上にコンクリートブロックを乗せらるか?

 ここで唐突に思われるかと思いますが、
 「豆腐の上に、コンクリートブロックを豆腐をつぶさずに乗せることができるか?」
という問題を考えてみましょう。
 「・・・あ 分かった、コンクリのブロックと言っても指の先位の小さなやつなんでしょ?」
 いえいえ、家の塀などにも使う普通のブロックです。
 「豆腐が巨大とか?」
 いえいえ、スーパーやコンビニエンスストアで売っている普通のお豆腐1丁とか半丁です。


●コンクリートブロックを豆腐の上にのせられるか?

 「あ、豆腐を冷凍庫でカチカチに凍らせるとか、そういう話?」
  いえいえ、常温の普通のお豆腐です。
 「それだったら無理だ。豆腐は潰れるに決まってる」
  論より証拠、ほら。


●豆腐の上に乗るコンクリートブロック

 なぜ、常温の豆腐の上にコンクリートブロックが乗っても、潰れもせずに思い物を支えているのか。
 答は簡単で、豆腐のパックを開けてないから、なんですね。


●未開封の豆腐パックは意外に大きな耐荷重を持つ

 開封していない豆腐のパックの上にコンクリ―トブロックを乗せると、やや曲がった6面体様のパックの各側面に力がかかります。

 しかしパックを開封していないと、上からかけられたのと同じだけの力でパック自体が側面から押し返すことで「合力ゼロ」となり、豆腐は移動もしないし、コンクリートブロックが「仕事」をして豆腐を破壊することもない。
 中学・高校で習うであろうニュートン力学の初歩そのものです。

 これはきちんとパックされてるから、強いんですね。
 ではパックを開けてみるとどうなるでしょう?

■充填のない地盤というリスク

 試みに豆腐の表面のフィルムを剥がして、上面に黄鉄鉱の塊を置いてみましょう。


●パックを開いた豆腐に重りを乗せると・・・

 このケースでは側面の四方と底面はしっかり容器が壁を作っていますが、上面だけはガードする面がなく、柔らかい表面がむき出しに見えています。
 ここに重りを置いてみると・・・。


●軟弱な地盤の上にいきなり家を建てたような状況

 重りはズブズブとお豆腐の中に沈み込んでしまいました。
 先ほどのコンクリート・ブロックよりはよほど軽いけれど、でも密度のある金属の塊を、全側面からのサポートを失ったお豆腐は支えることができない。

 常識を裏切ることなく「豆腐の角」は柔らかく、重いものを支えることはできなかった。
 これと原理的にはほぼ同じことが、軟弱地盤についても明確に言えるわけです。
 ぬかるみの上に小屋を建てても、すぐに傾いてしまうでしょう。
 木製はもとより、鉄筋コンクリートのように重い建物ならずぶずぶと沈んでも不思議ではない。
 そして、私たちが居住している地表面のほとんどすべては、程度の差はあれ、洪積層の柔らかい表土に覆われており、硬い岩山の岩盤真上にでも住んでいない限り、実は豆腐の上と大差ない状況にある。

 豆腐の上に鉄筋コンクリートのビルを建てようと思ったら、豆腐の層を突き抜けて、地下深く岩盤に届くコンクリートの杭を打ち込んで頑丈な基礎を作る必要があります。
 その上に家を建てれば、ズブズブ沈んだりすることはなくなるでしょう。

 逆に言えば、豆腐の「側面」が丸見え、というのは、凄まじく危ない。
 荷重がかかっていたら、いつ潰れても不思議でない状況であると、物理法則から考えないわけにはいかないのです。

■「穴」は早急に埋められねばならなかった

 そこで、博多の陥没です。
 穴が開いているという以上に、開いた穴のために、豆腐同様の柔かい表面の層が丸見えになっていることのリスクに、第一報を見た瞬間、私は恐怖の念を抱きました。
 この「穴」を、何としても早急に埋めなければならない。
 そうでないと、ちょうど開封した豆腐のパックと同様で、何かの衝撃、例えばちょっとした地震などがあったとき、一番弱いところにしわ寄せの結果が出てしまう。

 実際には「流動化処理土」という、セメントと土を水に混ぜ、水中でも固化する埋め戻し材をコンスタントに供給してまず配管のレベルまで埋め戻し、水の排出、各種ライフラインの仮復旧後、残りの穴も埋め戻して、実働5日間、陥没から1週間でひとまずの復旧がなされました。
 何より現場の方々の努力に脱帽です。
 と同時に、今回の陥没は相当な幸運に恵まれてもいたと思います。

 穴が開いたのが早朝だったため、交通量がほぼゼロで巻き込まれた人が実質いなかった。
 これと同じくらいの幸運が、復旧作業の5日間、集中豪雨などにも見舞われず、14日の早朝の降雨時には、ほぼ埋め戻されていた。
 万が一の雨に備えて穴全体にブルーシートがかけられていたようです。また何より地震や地下洪水といった事態も免れて、安全の内に復旧工事がひとまず完了したことが何より幸運だったと思います。

 逆に「軟弱な岩盤」の崩落で起きたと思われる今回の陥没そのものの再発防止、こちらは「幸運」に任せるわけにはいかず、きちんとした対策が取られねばならないでしょう。









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